Accelerated Graphics Port
Accelerated Graphics Port(アクセラレーテッド グラフィックス ポート、AGP)とは、インテルが開発したビデオカード用のポート(拡張バス)である。
2005年頃を境として新製品マザーボードのポートはほぼ完全に後継規格PCI Expressへ置換えられ、AGPは過去の物になりつつある。 初期のAGPカードは互換性に問題のあるものもあり、カードの認識自体がされないというケースも散見され、発表されて直ぐに規格は広まらなかった。 しかし、第1世代のAGPカード(i740チップやAGP 1x規格のカード)から第2世代(Riva TNT等)以降は、相性問題も徐々に解消されグラフィックカードの標準インターフェイスとして認知されるようになった。
最初のバージョンであるAGP 1.0は、1996年8月に策定され、1998年あたりから製品が出回るようになった。
メインメモリをテクスチャやZバッファやバックプレーンとして使用することによって、当時高価であったVRAM(ビデオ用専用メモリ。 SGRAM、WRAMなど)のビデオカードへの搭載量を必要最小限で済ませる事を目的に策定された規格である。従って、以前にビデオカード用の拡張バスに使われていたPCIやVLバスにベンチマーク性能の限界が見えてきた為に作られたと云う訳ではない。
パソコン向けに限って言えば、グラフィックスカードのみが突出してバスの転送容量を食いつぶす結果となったことも、AGPの普及に一役買っている。 ただし、大多数のPCで恒常的に最も多く使用されているオフィスソフトを使用する場合に限って言えば、PCIバス利用のグラフィックスカードで十分であり、この事はAGPを備えていないPCの登場(IGP=統合チップセットを利用したPC)によりはっきりしている。これは、オフィスソフトでは高度な3D処理は必要とせず、また、高速に描画を行い大量のデータを遣り取りする時間よりも、人の手で入力する時間が作業の殆どを占めており、画面の書き換えについても文字を毎秒数文字(または、毎分数文字)書き換える程度の処理が殆どである為である。表示のレスポンス面では改善されるのでベンチマークの数値とは別に体感は速くなる。
当初の開発の経緯と普及の経緯から、ビデオメモリを最小限に済ませたいローエンド製品から高い転送速度を必要とするハイエンド製品まで広く採用されていった。
AGPの実態は、32ビットのPCIにメインメモリを直接アクセスするサイドバンド機能を付加したものであり、適切なデバイスドライバが存在しない場合、32ビット/66MHzのPCIバスに繋がったビデオカードとして動作する。このことは、初期の3dfx社のVoodoo BansheeやMatrox社のMilleniumのAGP版に於いて高速なPCIバス接続のグラフィックカードとして利用されていたことからも明らかである。極端な例では、AGP用のグラフィックカードを、電圧の変換のみでPCI用として使用するアダプタが販売された事もあった。
2005年末時点でのマザーボードの新製品では、より高性能だがAGPと互換性のない後継規格PCI Express(PCIe)スロットのみを搭載したマザーボードが一般的となったため、AGPは事実上旧規格となり、各ビデオカードベンダーの最新型製品におけるラインナップはPCIeを中心とした物に移り変わっている。NVIDIAはGeforce 8シリーズ以降のAGP版をリリースしていない。AMDでは2009年現在のところRADEON HD 3000・4000シリーズのAGP版が発売されているが、HD 2000シリーズ以前に比べるとラインナップが大幅に減少した。いずれにしろ古いパソコンを強化する目的が主となり、バス転送速度がボトルネックとなるため最新のゲームを快適にプレイできるほどの性能をAGPに求めるのは困難となっている。また同等性能のPCI Express版より高価になる傾向がある。
PCIe用ビデオチップをAGPに転用するため、AGP-PCIeブリッジチップ(NVIDIAでは「HSI」と呼ばれる)を搭載するカードも存在する。しかし、このタイプのビデオカードは、ごく一部のチップセットで動作が不安定になることがあるため、デバイスドライバやマザーボードのBIOSを更新する必要がある。
AGPはこれまでに3つの規格がリリースされ 、諸元は以下の表の通りである。
より高速な動作モードを備えたリリースであるほど、回路を容易に駆動できるように信号電圧が低く設定されている。 データ転送速度は1x、2x、4x、8xの4種類があり、バースト転送時でそれぞれ 266Mbytes/秒、 533Mbytes/秒、 1.07GBytes/秒、 2.13GB/秒の速度となっている。
また複数の動作電圧が設定されているので、対応電圧の異なるカード・スロットを区別するため、図に示すように、3.3Vと1.5Vの電圧にそれぞれ対応した位置に、カードには切り欠きが、スロットには突起が存在する。これにより電圧が非対応のカードの挿入を物理的に防いでいる。 AGP 3.0の駆動電圧である0.8Vに対応した切り欠き(突起)は存在しないが、0.8Vで動作するカードは、0.8V非対応のスロットに挿入されたときも適切に対処することが規格上定められており
過去には、切り欠きが不適切に設定されたカードにより、回路が焼損する事故が起きたこともある。
なお、例えばAGP2.0対応カードが必ずしも全ての動作速度に対応しているわけではなく、動作モードは2xまでしかサポートしないというビデオカードは存在する。
カードやスロットにより、対応する規格の範囲が異なり混乱を招くことがある。また、カードやスロットの物理的形状だけでは対応する動作モードを判断することが出来ないため、混乱に拍車をかけている。
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